ITだけでは改革はならず。働き方改革のカギは人にあり

Date - 2016.12.23

今回は、『日経ビジネスONLINE』より、マイクロソフトの働き方改革へ

の取り組みをお伝えします。

 

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▼経営者が決断し、アナログの改革から始める

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日本が直面している大きな課題の1つが、生産年齢人口の減少。2030年

には2000年と比べて1300万人も減少するという試算もあるほどです。

日本は先進7カ国中、19年連続で労働生産性が最下位。労働時間も長く、

22%の労働者が週50時間以上働いています。

 

「生産年齢人口の減少という『労働の量』の低下に対応することに加え、

長時間労働という『労働の質』の改善も必要です」と日本マイクロソフト

の越川 慎司氏は訴えます。

 

この課題解決のために欠かせないのが「働き方改革」。ビジネスの成長を

促すイノベーションは、顧客に接している現場から生まれます。すなわち、

働き方改革こそがイノベーションの源泉であり、競争優位の切り札なの

です。

 

「働き方改革のゴールは、社員に働きやすい環境や制度を整えることで

はない。イノベーションを起こし、企業の収益力を高めること。このゴー

ルを見誤ってはなりません」と越川氏は釘を刺すします。

 

そのためには経営トップのリーダーシップが不可欠。組織として働き方

の方針を打ち出し、現場に自由と責任を与え“腹落ち感”のある仕組みを

整えることが大切です。

 

ITありきで働き方改革を考えるのも禁物です。「ITが働き方を変えるの

ではない。働き方を変えるためにITが必要なのです」と越川氏は指摘し

ます。

 

まずやるべきは「アナログの改革」です。会議で紙の配布を禁止したり、

机に資料や私物を置くのを制限するなどの取り組みから始めるのです。

その中で効率的な働き方を追求していけば、必然的にITの活用に行き着

きます。

 

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▼自社の働き方を見直し、テレワークを推進

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こうした教訓は日本マイクロソフト自身の取り組みに基づくものです。

実は日本マイクロソフトも以前は働き方に関して多くの課題を抱えてい

たといいます。

 

その課題は大きく3つ。1つ目は労働生産性の課題です。「組織間連携が

乏しく、個の生産性は高くとも、チームワークに課題がありました。情報

共有が進まず、意思決定に時間がかかっていたのです」(越川氏)。

 

2つ目はコスト効率の課題。「オフィスが分散していたため、社員の移動

回数が月間5000回超。年間1000万円を超える交通費がかかる上、機会

ロスによる経済損失見込みは約1億5千万円もありました」と話す越川

氏。

 

最後に3つ目は風土・文化面の課題。「女性の活躍をサポートする制度が

不十分で女性退職率が高止まりしていました。東京の拠点が主導して仕

事することが多く、地方と東京のスタッフのコミュニケーションが取り

にくいと感じていました」(越川氏)。

 

これらの課題にしっかり向き合うために、徹底的に議論を重ね、働き方改

革に向けた要素の検討を実施。その結果「経営ビジョン」「マインドの醸

成」「オフィス環境の見直し」「制度・ポリシーの見直し」「IT活用」とい

う5つの要素を導き出しました。

 

「そこで都内に分散していたオフィスを統合し、2011年に品川へ本社を

移転したのを機に、従来の集合型の働き方から『いつでも・どこでも』の

働き方に変えたのです」と越川氏は話します。

 

働き方改革のポイントは、「働き方を変えること」を目的化しないことだ

といいます。変えることを目的にすると、育児・介護支援制度や在宅勤務

制度の導入がゴールになり、新しい働き方が定着しないからです。「経営

トップが改革のビジョンを示し、その理由を社員にしっかり伝え、社員が

納得することで改革は前に進みだします」と越川氏は指摘します。

 

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▼事業生産性が26%向上し社員満足度もアップ

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日本マイクロソフトの社員は、モバイルPCやスマートフォンを使って

社内/社外を問わず、いつでも必要なシステムやデータにアクセスし仕

事を行えます。世界中のマイクロソフトの社員とプレゼンスに基づいた

リアルタイムコミュニケーションも可能。マイクロソフトは完全成果主

義。コアタイムはなく、結果を出せばどこで働いてもいいのです。

 

企業としても大きな成果を上げています。注目したいのが、事業生産性の

向上です。社員一人当たりの生産性は26%も向上。また残業時間は5%

減り、旅費・交通費も20%削減できました。ペーパーレス化が進み、紙

の使用量も49%減。社員満足度が大幅に向上し、女性の離職率も40%下がったといいます。

 

マイクロソフトの働き方改革の取り組みはさらに進化を続けています。

その象徴が「モダンワークスタイル」の実現です。これは「いつでも・ど

こでも」働けるだけでなく、社員同士が組織や役職の壁を越え、有機的に

つながることでより一層活躍できる働き方を目指すものです。

 

それを支援するツールの1つが、働き方の状況を分析・可視化する「Delve

Analytics(デルヴ アナリティックス)」。「メールにかかった時間、会議

の時間などをクラウド上に記録し、どれぐらい非効率だったかを確認で

きます。さらにどうすれば効率を高められるかもアドバイスします」と越

川氏は説明する。Delve Analyticsを使って仕事の無駄をなくすことで、

働き方改革はさらに加速することが可能だといいます。

 

日本マイクロソフトは自社の継続的な取り組みに加え、多くの企業の支

援で培ったナレッジやノウハウを武器に、これからも事業生産性の向上

につながる働き方改革を強力にサポートしていく考えです。

 

 

出典:日経ビジネスONLINE