私が「共振の経営」を徹底するワケ

Date - 2017.01.20

今回は、『日経ビジネスONLINE』より、「行動で示し、行動で評価する」

と語るユニ・チャームの高原豪久社長に、社員の育て方について聞いた

インタビュー記事をご紹介いたします。

 

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▼経営陣と現場の社員が一丸となる仕組み

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紙おむつや生理用品などで国内トップメーカーのユニ・チャーム。強さの

原動力は、「共振の経営」という独自のマネジメント手法を導入し、主体

的な社員を生んでいること。高原豪久社長に、社員の育て方について聞き

ました。

 

-自身の経営スタイルを「共振の経営」と表現しています。共振とは、あ

まり聞き慣れない言葉ですね。

 

高原:共振というのは、適切な力を加えると、次第に振動の幅が大きくな

っていく現象です。振り子を適切なタイミングで押すと、左右に揺れる幅

が次第に大きくなる様子を想像してもらうと分かりやすいでしょうか。

 

この振り子の左右の端を、私は経営陣と、現場の最前線で働く社員とそれ

ぞれ位置づけました。経営陣は現場の社員の知恵を生かす。一方、現場の

社員は経営陣の方針をよく理解し、その視点で考えて行動するように努

める。双方がコミュニケーションを取ってバランスを保つことができれ

ば、組織全体の力がどんどん大きくなっていく。それが私の理想なので、

「共振の経営」と名付けました。

 

それに、新たな力を加えずにしばらくそのままにしておくと、振り子の揺

れは徐々に収まって最終的に1つの場所に止まりますよね。この流れが、

まさに経営陣と現場の社員が一丸となって共通の目標に向かうイメージ

とぴったりだったことも、共振という言葉を選んだ理由です。

 

共振の経営を実践するために、ユニ・チャームでは2つの仕組みを取り

入れています。

1つは週次でPDCAサイクルを回す「SAPS経営モデル」もう1つはト

ヨタ生産方式を参考にした、ものづくり現場を中心とする改善活動

「UTMSS」です。

 

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▼自分1人で意識を変えることはなかなかできない

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人間は、自分1人では意識をなかなか変えることができません。できな

いから、多くの人が悩むのです。だったら意識より先に行動を変えれば、

意識が後から変わるのではないか。そう考えて、先代(父で創業者の高原

慶一朗氏)のときから続くUTMSSに加え、私が社長に就任した後、社

員の行動変革を促すSAPS経営モデルを導入しました。

 

SAPS経営モデルのイメージは、野球に例えると分かりやすいと思いま

す。素人に「試合では常にホームランを意識して狙え」と指示しても、無

理だと思ってやる気がなくなるかもしれません。反対に「バットの素振り

を毎日100回やりなさい」とアドバイスすれば、やる気さえあれば誰で

もできる。毎日続けてから試合に出れば、ホームランが打てる可能性は十

分あります。

 

-まさに逆転の発想ですね。

 

高原:まず行動を変える。そうすれば意識は後から変わってくる。ですか

ら、SAPS経営モデルでは、毎週、目標に従って翌週の行動計画を立て、

私も社員も、まず実行します。そして結果を見て行動プロセスが適切だっ

たかどうかを、課やグループ単位で開くミーティングで検証し合って翌

週に生かしているのです。

 

意識と異なり、行動は第三者が確認しやすいメリットもあります。やった

か、やらないかは一目瞭然ですから、私は「行動で示し、行動で評価する」

と社員に伝えています。

 

ある社員が目標を達成できなければ、原因を関係者全員で検証して改善

していきます。結果が出なかったことを個人のせいにして責めても何も

生まれません。行動に問題がなかったのかプロセスを確認し、正しい仕事

の進め方を身に付けたほうが成功に近づきます。

 

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▼ビジネスパーソンの能力に大差はない

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-行動が変われば、どんな社員でも成長するのでしょうか。

 

高原:個人差はありますが、着実に成長します。そもそもビジネスパーソ

ンの能力に大きな差はないと私は考えています。でも、実際には成果を出

す人とそうでない人がいる。では、なぜ成果を出せないのか。能力がまだ

開花していないか、能力は備わっているがやる気が充実していない。この

両方、もしくはいずれかが原因ではないでしょうか。

 

SAPS経営モデルでは、互いに協力し合いながら行動プロセスをチェッ

クし、誤っていれば矯正します。だから、時間がかかっても、社員一人ひ

とりの能力は開花します。やる気がなくなりかかった人も仲間のサポー

トや指摘を受けて復活しやすいのです。

 

 

出典:日経ビジネスONLINE