部下のやる気は「ほめ」で引き出せ

Date - 2017.01.27

今回は、『日経ビジネスONLINE』より、ユニークな経営手法で知られる

株式会社武蔵野の名物経営者小山昇氏が提言する、真の個人・組織活性策

についてお伝えいたします。

 

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▼成長させてやりたいと「考えている」「願っている」だけでは駄目

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あなたは管理職として、部下をもっと成長させてやりたいと常に考えて

いるでしょう。少しでも早く一人前になってもらいたい、あなたはそう心

から願っているのに、当の部下は「親の心子知らず」で、今日もちゃらん

ぽらん…。

 

よくある光景ですが、これは部下が悪いのではありません。彼を成長させ

るべく具体的な行動を取らないあなたが悪いのです。

 

優秀な管理職は、その優秀さゆえに往々にして「黙っていても部下は育つ」

と思い込んでいるものです。自分自身が「見て」「盗んで」仕事を覚え、

成長してきたからでしょう。しかし、当たり前のことですが部下はあなた

のような才覚を持っているわけではありません。あくまでも普通の人な

のです。

 

普通の人を育てるには、手をかけ目をかけしてやらなければいけません。

成長させてやりたいと「考えている」「願っている」だけでは駄目です。

 

ではどうしたらいいのか。部下の能力を伸ばすには、手間を掛ける必要は

ありますが、お金はさほどかかりません。ただ、ほめればいいのです。な

にかにつけて大げさなくらいほめてやってください。ほめるだけで部下

は伸びます。

 

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▼「ほめ」は具体的でないと部下には伝わらない

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あなたはもしかしたら「部下をほめるくらいのことはちゃんとやってい

る」とお感じになっているかもしれません。しかし、「○○さん、がんば

ったね」などというようなほめ方をしてはいないでしょうか。それではま

ったく相手の心に届きません。そういう抽象的な言葉は、下手をすると

「お前のことなんか見てないよ」というメッセージにすり替わります。

 

部下をほめるにはコツがあります。「具体的」にほめることです。もっと

も効果的なのは「数字」に基づいてほめることです。例えば、部下が商品

を10個売ってきたとします。前回が8個なら、これは2個分のがんばり

です。そこをほめるのです。「すごい、2個も増えたな。次は12個だね」

という具合に。

 

あなたの部下たちの平均売上が20個であっても、関係ありません。その

社員個人としては伸びたのだから、ほめればいいのです。たとえ平均以下

の売上個数であっても、当人にとっては新記録です。大切なのは、そのほ

め言葉により部下に「がんばろう!」という気持ちを起こさせることです。

そうやって一人ずつほめていけば、結局は全体の成績アップになり、ひい

てはあなた自身の評価にもつながります。

 

このときのほめかたでポイントとなるのは、「前回の自分(当人)」との比

較をすることです。これは実績が下がった場合には特に有効です。10個

を売った日の翌日の売上個数が7個に減ったとしましょう。これはほか

ならぬ自分の成果ですから、言い訳のしようがありません。素直に頭を下

げ、次の巻き返しを約束せざるを得ないのです。

 

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▼部下は「過去の自分」と比較されると黙らざるを得ない

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このように人間は過去の自分が挙げた数字を持ち出されて比較されると、

ネガティブなデータでも素直に受け入れます。これを「営業所の中で一番

下がった」などと、周りの社員と比較してはいけません。「あいつの営業

ルートは楽だからだ」「やつは課長に贔屓(ひいき)されているからだ」

などと、心の中にすぐに言い訳が浮かび、ふてくされてしまいます。それ

では「がんばろう」という気持ちになれないのは当然です。

 

上司が部下を指導する立場にある以上、正しいことや事実だけを素のま

まぶつけては仕事になりません。相手の性格によっては、見透かされない

程度にホラや誇張も交えてほめたり叱ったりしなければいけないのです。

 

こうして「ほめ」の習慣がついてきたら、並行して「ほめ」の記録を取り

ます。いつ、だれに、どのような内容でほめたのかをきちんとメモしてお

き、部下の間で「ほめ」の偏差が出ないようにします。「先週はAくんを

4回、Bくんを3回ほめた」「では今週はBくんを1回余計にほめよう」

という具合にです。管理職は、部下全員の能力をまんべんなく底上げする

使命を帯びているのです。

 

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▼部下が成長するのは、「期待を表明されたとき」

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もう40年くらい前、いま私が社長をしている武蔵野の中間管理職を務め

ていたときのことです。当時、私には部下が30名いました。私一人でが

んばるより、部下に少しずつスキルアップしてもらうほうが明らかに効

率的です。

 

そこで私は、いつ、どの部下を、どういう内容でほめたのかについて詳細

な記録を残し、各部下に対する「ほめ」の量が均等になるようにしました。

また、期ごとの部下の評価もその記録に基づいて具体的に行いました。こ

の効果は絶大で、私の率いる支店は抜きんでた業績を挙げました。私がし

たことといえばほめたこと、そしてその記録を取っただけなのに、です。

 

部下が成長するのは、「ほめ」という形で期待を表明されたときです。そ

して部下が成長しなければ、あなたの部門の業績はいつまで経っても伸

びません。部下をほめることができない、ほめるところを見つけられない

管理職は、管理職失格です。

 

 

出典:日経ビジネスONLINE