部下を信頼し、認めて、優れた所を伸ばす

Date - 2018.03.07

今回は2月13日の「日経ビジネスONLINE」からのご紹介です。

 

慶応義塾大学大学院経営管理研究科(慶応ビジネス・スクール)が

次世代の経営の担い手を育成すべく、

エグゼクティブ向けに開設する「Executive MBA」。

2017年12月の経営者討論科目ではNTTドコモの山田隆持顧問が

「経営とリーダーシップ」をテーマに講義を行いました。

 

講義の後半には受講者からの質問に

山田顧問が答える時間が設けられました。

「顧客満足度を向上させる方法」

「社員のねぎらい方」

「ガバナンスのあり方」

などに関する質問に対し、

山田顧問はこれまでの経験を基に自らの考え方を具体的に説明しました。

 

――受講者:NTTドコモのような大きな企業は、

極めて多くの顧客を抱えています。

ドコモの場合は、

お客様満足度をどのような形で向上しようとしてきたのか、

またどう評価してきたのかについて聞かせていただけますか。

 

山田:お客様満足度の評価に関しては

ドコモでは最終的には外部の会社を活用しています。

ドコモショップの対応、

端末の使い勝手や料金の内容に関する説明の仕方などについて、

お客様の評価を定量的に測ってもらっています。

これによって、お客様満足度はかなり精緻にわかります。

 

私がお客様満足度向上のために

一番大切にしていたのはCS(顧客満足)情報です。

お客様から直接届く声ですね。

お客様から届いた要望や苦情にできるだけ応えようと努めました。

 

皆さんが勤める会社にもCS部門があると思います。

CS部門はお客様の要望をとりまとめて、

それぞれの担当部門に解決策を依頼する部門です。

このため、CS部門はお客様と担当部門との間に

挟まれる存在といえます。

担当部門の回答が、後ろ向きだったり、拒否ベースだと、

CS部門はお客様に回答できなくなり困ってしまいます。

そうすると、

CS部門のメンバーは生き生きと仕事が出来なくなります。

逆にCS部門のメンバーが活力を持って

元気に仕事をしている会社は、

各部門がお客様要望に前向きに取り組んでおり、

素晴らしい会社といえると思います。

 

良い会社は

担当部門がCS部門から届いたお客様の言葉に耳を傾け、

改善するという企業風土が育っています。

 

では、どうすれば担当部門はきちんとお客様の声に

対応するようになり、CS部門に活力が湧くのか。

やはりリーダー自身が「CSを大切にしよう」と

ずっと言い続けることだと思います。

 

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社員へのねぎらいはすぐに形にすること

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――受講者:お客様満足度を向上し、

お客様の期待に応えるため、山田さんは社員に、

あえて高い要求をしてきた面もあるように感じます。

東日本大震災後、

翌月の4月末には携帯電話を復旧させたというのも

その1つの例かと思います。

高い目標を掲げて「頑張れ」とハッパをかけ、

実際に達成できたわけですが、

そのように成果を出したチームやメンバーに対しては、

山田さんはどのように報いてきたのでしょうか。

目標達成後も、

活力を維持してもらうために心がけていることや、

具体的に役立った方法があれば教えてください。

 

山田:実行してもらったこと、

頑張ってくれたことに対するお礼や感謝の気持ちは

形にして表しています。

これは非常に大切なことだと思います。

震災後、

いち早く復旧してくれた東北にいる社員や関係者の方々には、

直接足を運んで感謝の言葉を伝えました。

色々な慰労会もやりましたよ。

 

お礼や感謝の気持ちを形にした事例を1つご紹介しましょう。

私が社長になってつくった中期計画に

「2年後にお客様満足度調査でナンバーワンをとる」

と宣言しました。

これも東日本大震災の対応の時のように、

「無茶ぶり」だったかもしれませんが、

とにかくみんなには頑張ってもらいました。

 

お客様満足度調査の発表は11月上旬にあります。

私は11月になるずっと前から、ナンバーワンを取れた時には、

みんなに「ありがとう」と記念品を配りたいと考えていました。

ドコモには社員が2万人以上います。

ショップのスタッフを加えたら5万人を超えます。

記念品を5万個つくろうと思ったら1カ月ではできない。

だから、数カ月前から仕込みました。

有名ブランドの写真立てを発注しておいたのです。

 

「ナンバーワンが取れなかったらどうするんですか」

「大量の記念品がムダになるのでは」

と聞かれたけど、

「取れなかったら12月にプレゼントで配ればいいじゃないか」

と言いました(笑)。

幸い、11月の発表でナンバーワンが取れたので、

すぐに用意していたプレゼントを配りました。

ショップのスタッフの皆さんにも全員。

これはとても喜んでもらえたと思います。

 

皆さんもぜひお礼や感謝の気持ちは形にしてください。

大事なのはすぐにやることです。

ある程度、リスクを負ったとしてもです。

 

――受講者:山田さんが唱える「現場原点主義」というのは、

現場が「できない」という、

「言い訳」を封じる狙いもあるように思いますが、

いかがでしょうか。

 

山田:私はそんなに性格は悪くないんですよ(笑)。

まあしかし、現場の人と一体になっていると、

現場の人が「こんなことはできません」と言ったら、

「じゃあ一緒に考えましょう」という雰囲気はできますよね。

結果的に現場の人の言い訳を封じているのかもしれません。

もちろん、それは悪気があって言っているのではないのですが。

 

日本ではきっと、

性善説でやった方が会社の運営はうまくいきます。

そういう歴史や文化的な背景がありますし

知識や経験などもある人が多いですから。

あとは自分の会社を愛してくれる人をどれだけ多くつくるかですね

 

 

いかがでしたでしょうか?

社員への労いと現場原点主義、

お客様目線の必要な会社であるかないかを問わず、

「部下を信頼し、認めて、優れた所を伸ばす」ことの必要性を

感じていただけたのではないかと思います。

 

 

 

出典:日経ビジネスONLINE