新人が教えてくれる繁盛店への道

Date - 2018.03.14

今回は228日の「日経ビジネスONLINEからのご紹介です。

 

居酒屋運営、楽コーポレーション(東京・世田谷)の宇野隆史社長の下には、

一国一城の主になりたい若者が次々に集まります。

店に入ったばかりの若者たちから、

居酒屋のオレたちは学ぶべきことがたくさんあると、宇野氏は語ります。

 

どんな仕事でも、新人はまず先輩たちに仕事のやり方を学ぶ。

何年もたって「一人前」にならなければ、

任せてもらえないことも多いだろう。

 

でも、オレたち居酒屋は、

店に入ってきたばかりの何もできない新人からも

「学ぶこと」がすごくある。

だってさ。

料亭のように何年も修行しなきゃ

お客さんの前に立たせないなんて余裕はないから、

入ってすぐの新人でも料理ができるように考えなきゃいけない。

これを考えることが、オレたち自身の糧になるんだよね。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

独立して店を持ったときに生きること

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

例えば、アジのたたきだって店で数年働いているヤツと同じように、

入ってすぐの新人もお客さんを喜ばせる料理として

出せるようにしなくちゃいけない。

もちろん、何年も厨房に立っているヤツと同じようにはできないから、

どうやれば3日目の新人でもお客さんに

「おいしい!」って言ってもらえる料理を出せるかって、

先輩たちは頭を悩ませる。

 

アジのたたきってのは、たたいて細かく切ったアジの刺し身に

ネギなどの薬味をあえたもの。

新人がオーダーを受けてから作るんじゃ時間がかかり過ぎるから、

あらかじめある程度作っておいて、

水に漬けておいた刻みミョウガだけをお客さんに出す直前にあえる

こうすると、すごくいい食感が加わって、

お客さんに喜んでもらえる。

 

料理の味だけじゃなくてさ。

お客さんの前でさっと薬味をあえる動作は、格好いいでしょ。

刺し身がきれいに切れるようになるには時間がかかるけど、

薬味をあえる動作なら、新人でもちょっと練習をすれば

すぐにお客さんの前でできるようになる。

料理だけではなく、

動作で「おいしさ」を伝えることができるってわけだ。

 

そういう風に、

「できないヤツをどれだけ戦力にするか」と考えることが、

オレたちにはものすごく重要だ。

それは、店の子たちが独立した時の武器にもなる。

うちの店で働いているときには大勢の助けがあるけど、

独立したら自分1人。

料理も接客も、今までとは同じにはできなくなるから、

「できない新人」のために働かせていた頭が、

役に立つんだよね。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

一人前になっても忘れてはいけないこと

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

独立して店を出すために、最近うちを出た子がいるんだけどね。

その子も、何もできないので有名な子でさ。

うちが以前、

カナダのバンクーバーに店を構えていたときに

現地で応募してきたんだけど、まず履歴書がひどくてさ。

後で分かったんだけど、

そいつはバンクーバーで同年代の日本人の子と一緒に住んでいたのね。

それで、一緒に住んでいる子の履歴書を名前だけ変えて持ってきたの。

同居していたのは、大学で英語を勉強している学生でさ。

英語テストのTOEFLが何点とか書いてあるわけ。

 

何もできなくたっていいけど

英語を話せる接客スタッフが欲しかったから、

「いいね、いいね」って採用してホールを任せたら、

これが全然しゃべれない。

「え? どうして?」って聞いたら、そんなことが判明してね。

なんで、そうまでしてうちに来たかったのかを聞いたら、

「まかないで、和食を食べて、味噌汁が飲みたかったんです」

って言うの。

めちゃくちゃでしょ(笑)。

元々、漁師をやっていたというから、魚がさばけるのかといったら、

これもできない。

やってたのはシラス漁なんだよ。

面白いよね。

 

そんなヤツなんだけど、ものすごく周りに愛される子でね。

送別会でも、

「あんなに何もできなくて愛されたヤツはいない」って、

みんなが口々に言うぐらい。

とにかく笑顔がいい子でさ。入ってきたときは、

「とにかく笑ってろ」と教えて、

一生懸命、お客さんを満面の笑顔で迎えていた。

居酒屋ってさ、そういうことが大事なんだよね。

だって、ものすごくおいしい料理を出してくれても

店主がいつもしかめっ面している店と、

いつも気持ちいい笑顔で迎えてくれて

心が晴れ晴れとするような店があったら、

すばらしいというような料理じゃなくたって、

笑顔がある店に行きたいよね。

 

 

今回は、飲食業のお店が繁盛していくための経営者のお話。

しかし、これは飲食業に限ったことではありません。

新人の特性をいち早く見抜き、

それを活かしていくスキルがリーダーには役立つ

ということだと思います。

 

どういった視点で新しい芽を育てていくかは

いつも意識しておく必要があるかもしれません。

 

 

 

出典:日経ビジネスONLINE