心を読んで人を動かす!誰でもできるメンタリズム!

Date - 2014.04.28

今回は、週刊ダイヤモンドより、メンタリストであるDaiGo氏の
「営業心理学-心を読んで人を動かす 誰でもできるメンタリズム!」
をご紹介いたします。

 


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
▼ メンタリズムを営業に活かす
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
セールスとは、お客さまが主演の”物語”なのだと、DaiGo氏は言います。

 

営業マンは商品を、単に「これは人気がありますよ」「こんな機能があ
りますよ」と薦めるのではなく、その商品がある光景や生活を、リアル
に想像させ、相手の心理に訴えかける”ストーリーテラー”であるべき
なのだそうです。

 

そこで、今回は「心を読んで人を動かす」メンタリズムを営業の現場で
活用する方法をご紹介いたします。


 

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
▼ 僅かな変化に注目してみる
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
メンタリズムの基本は、

 

①観察する
②分析する
③信頼される
④誘導する

 

の4つだそうです。


 

①観察する

 

 観察の対象はさまざまで、相手の表情、体の動き、言っていること、
 相手の持ち物や身に着けている物などがあげられるそうです。
 
 例えば、相手の表情であれば、目線や口の動きなどに注目すると良い
 ようです。

 

「目線が左右に動き、口は固く閉ざしている」
 →つまらないと思っているそうです。
「目線が上下に動き、口は軽く開いている」
 →興味を示しているそうです。

 

 このように、僅かな変化ですが、観察しておくことで相手の心理状態
 を把握できるのだそうです。


 

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
▼ 観察が分析につながる
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
②分析する

 

 観察をすることで、分析につながるのだと、DaiGo氏は言います。

 

 例えば、DaiGo氏は、名刺交換の際にわざとグッと相手に近づいてみる
 そうです。
 そのとき、一歩後ずさりする人は、警戒心が強く心に壁をつくりやす
 いタイプなのだそうです。
 一歩下がらないまでも、重心が後ろに傾く人もいるそうです。
 こうした行動から、相手との心の距離を測ることができるようです。

 

 クライアント側へのプレゼンテーションの場などでは、キーマンの1人
 が明らかに警戒心を抱いていることがわかれば、その人にターゲットを
 絞ったプレゼンを心がければいいのだそうです。

 

 相手の心を分析できれば、対策を練ることもできるようです。


 

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
▼ 相手に信頼されるには?
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
③信頼される

 

 メンタリズムで相手を思い通りに動かすための、重要なポイントが、
 「信頼してもらうこと」「親近感を抱かせること」なのだそうです。

 

 そこで、有効な手法の一つが、「こちらから先に打ち明ける」ことだ
 そうです。

 

 「あなただから話すけど」。

 

 自己開示は、相手の情報を引き出す”誘い水”になるそうです。
 こちらから先に打ち明け話をすることで、相手も「こちらも話さなきゃ、
 何だか悪いな」「こんな個人的なことを話しているということは、自分
 もこの人を信頼しているんだ」という心理が生まれてくるそうです。

 

 特に、初対面の相手や無口なタイプにはより効果的だそうです。

 

 また、他にも「相手の動きをまねる」という方法もあるそうです。

 

 私たちは、自分と同じしぐさや動作を行う相手に対して、ラポール(心
 理学用語で、相手との親近感や信頼関係のこと)を抱きやすいのだそう
 です。
 (これを意識的に行うことを、「マッチング」もしくは「ミラーリング」
 と言うそうです。)

 

 具体的には、相手がお茶を飲んだら自分も飲む、相手が足を組んだら、
 ネクタイを直したら、自分も同じことをする…などがあるようです。

 

 ただし、ワンテンポ遅らせたり、左右対称にまねるなど、「まねている
 ことを相手に悟られない」工夫が必要だそうです。


 

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
▼ 伝えたい情報に変化をつける
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
④誘導する

 

 相手の誘導でも、最も重要なのは「相手が気づかないように」行うと
 いうことだそうです。
 こちらからの心理的働きかけによって、相手があたかも「自分で選ん
 だ」と思わせなければいけないのだと、DaiGo氏は言います。

 

 ここでのメンタリズムの技術は、「マーキング」という方法。
 「相手に伝えたい情報を強調したり、変化をつける」技術だそうです。

 

 例えば、会話中に特定の言葉のときだけ、声の大きさやスピードを変
 えてみるのだそうです。
 そうすると、聞く人の印象に残るのだそうです。
 声を小さくしたり、同じ意味の言葉を表現を変えて繰り返すことなど
 も効果的だそうです。


 

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
▼ 練習すれば習得できる、メンタリズム
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
以上のようなテクニックは、「知っている」と「やっている」とでは雲
泥の差があるのだと、DaiGo氏は言います。

 

DaiGo氏は、テクニックを身につけるため、「今月は会った人の口だけを
観察する」「翌月はつま先」と、意識的に見る部分を変えていったそうです。


 

「心を読んで人を動かす」メンタリズム、実践してみてはいかがでしょうか。

 

 

出典:週刊ダイヤモンド 2014/03/22号



感情30%増のメール術!

Date - 2014.04.21

今回は、著書『伝え方が9割』で、センスや才能に頼らない、伝え方の
”技術”を紹介している、コピーライターの佐々木圭一氏の、
「表現学演習-言葉を強める5つの方法 感情30%増のメール術」
をご紹介いたします。


 

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
▼ 喜びの表現は大きめに
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ビジネスの現場で、最も利用頻度が高いのがメールだそうです。

 

しかし、「内容はわかりやすいけど、ちょっと冷たいな。」
そういうメールを受け取ったことはないでしょうか。

 

短いコトバで適確に伝えることも、正しいことだそうです。
しかし、喋り言葉と違い、メールは愛情を持って打っていても、届いた
瞬間はゼロなのだと、佐々木氏は言います。

 

そこで、ポイントは「コトバで感情を30%増量する」ことだそうです。

 

最も簡単なのは、語尾に「!」をつけることだそうです。
「メールありがとうございます」と「メールありがとうございます!」
では印象が随分異なると思います。

 

もちろん、非常に重要な契約に関するメールなどでは使わないほうがい
いでしょう。

 

しかし、一般的なメールなら、上司にも取引先にも、喜びの表現は大き
めに書いても失礼にはならないと、佐々木氏は語ります。


 

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
▼ 「伝える」ことは「技術」である
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
 佐々木氏は、伝え方として5つの方法を紹介しています。
その中でも、メールで使いやすいものが、以下の3つだそうです。

 

1.サプライズ法
  「!」をつけたり、「驚きました」「なるほど!」と書きます。

 

2.リピート法
  言葉を繰り返すことで、相手の記憶に残り、感情も乗せることがで
  きる方法。
  例)「御社の商品、売れてます」
  →「御社の商品、売れてます、売れてます!」

 

3.クライマックス法
  「この後に書いてある言葉が大切だよ」ということを伝える方法。
  例)「これだけは覚えておいてほしいのですが」「ワンポイントア
 ドバイスですが」など。
  長いメールでも、その言葉を手前に入れることで、読んでもらえる
  そうです。
  一度、改行して、クライマックスワードが先頭にくることが大切だ
  そうです。

 

重要なのは、読み返すことだと佐々木氏は語ります。

 

メールを書いた後に、誤字脱字や内容に間違いはないかというチェック
に加えて、「感情を30%増量できているか」の確認と修正をすることを
お勧めしているそうです。

 

「伝える」ことは、ひらめきや才能ではなく「技術」なのだと佐々木氏
は言います。
技術であるということは、学べるということだそうです。

 

 

出典:週刊ダイヤモンド 2014/03/22号



30秒で打ち解ける雑談力、質問力、要約力の極意

Date - 2014.04.15

今回は、明治大学文学部の教授である齊藤孝氏の
「コミュニケーション論-30秒で打ち解ける雑談力 質問力、要約力の極意」
をご紹介いたします。


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
▼ コミュニケーション力と雑談力
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
今回取り上げられたのは、営業マンにとって不可欠な、コミュニケーショ
ン力です。

齋藤氏は、「『人間関係のほとんどは営業である』といってもいいかも
しれません。」といいます。

コミュニケーション力とは、相手と信頼関係を築いていく力だそうです。
その出発点として大事なのは、「気心が知れ合う」ということ。
相手から”いい人”と判断され、お互いに意気投合できるかどうかが、
その後の結果を左右するそうです。

また、営業では、初対面で商品を媒介にすることなく、30秒で相手と打
ち解けることができるかが重要だそうです。
そこで必要になるのが、「雑談力」だと、齋藤氏はいいます。


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
▼ 雑談をするときのポイント
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
雑談の目的は、お互いにほぐれた関係になることだそうです。

ここでのポイントは2点。

1.積極的に自分の情報も開示しながら、相手との接点を見つけていく
  例)相手の家に絵があれば絵の話、ペットがいればペットの話など。
 相手の好きなものに共感することで、信頼を得やすくなるそう
 です。

2.雑談で場を温める前に、自分の身体自体を温めておく
  軽く10秒間ジャンプをして、肩甲骨を揺さぶっておくと、第一声が
  明るい声になる。
  上機嫌で爽やかに雑談に臨むことが大切だそうです。


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
▼ 「聞く力」=選択肢を用意する力
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
雑談で打ち解けることができたら、次は商品の説明です。
ここで大事なのは、「聞く力」だそうです。

相手が何を疑問に思っているのか、引っかかっているポイントはどこな
のか。
それをきちんと聞き取るために、齋藤氏が紹介しているのが「指圧の手
法」だそうです。

相手の興味のツボがいまひとつ分からない場合は、まずは広く押さえて、
だんだん絞り込んでいくという会話が有効なのだそうです。

例えば、「価格が気になりますか?サービス内容ですか?確かに他社よ
りちょっと高いんですが、その分サービス面ではこうなっていて……」
といった具合だそうです。

「聞く力」とは、選択肢を用意する力でもあるようです。

また、齋藤氏は、営業で必要な姿勢として、「積極的受動性」をあげて
います。

これは、受動的でありつつ、自分からアプローチをかけて相手が発して
いる波を感知し、その波を増幅するという姿勢だそうです。

また、コミュニケーションの基本は「沿いつつずらす」だと齋藤氏は語
ります。
人と対話するときは、まず相手の言葉を肯定的に受け止めた上で、角度
をつけて少しずらしていくそうです。
最初の同調によって、次のずらしが効いてくるのだそうです。


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
▼ 「話す力」を鍛える!
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ここでもう一つ、営業マンに必要なのが、「話す力」だそうです。

だらだらと長い話では相手を不快にさせますし、あらかじめ用意された
台本では心を動かされないといいます。

ここで大事なのは、「要約力」だそうです。
要点を簡略に3つにまとめたり、15秒で言いたいことを言う訓練が有効
だそうです。

齋藤氏が大学で行っている教育学の授業では、実際にストップウォッチ
を持って15秒で話す練習をしたり、新聞記事を要約したり、相手の本音
を引き出す質問の練習も行っているそうです。

授業ではあくまで教師になるための能力としてトレーニングしているそ
うですが、あらゆる仕事に就く人が養い育てるべき能力といえるのだそ
うです。

 

出典:週刊ダイヤモンド 2014/03/22号 

 



「後継者は『才』に走らず『徳』を積め」

Date - 2014.04.07

今回は、日経トップリーダーより、法政大学の教授である坂本光司氏の
 「後継者は『才』に走らず『徳』を積め」をご紹介いたします。


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
 ▼ 先代の子供は後継者に適している?
 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
 中小企業の後継者に適した人材を考えるとき、先代の子供という立場は
 非常に有効だそうです。

理由は、
 1.血縁による後継者の正統性を多くの日本人が認めるから
 2.実力で選ぶと、後継者候補となっている役員同氏の派閥争いを生み、
 どちらかが継いだ後もなかなか解消されない
 からだそうです。


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
 ▼ 会社で頑張る社員を物心ともに幸せにする
 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
 しかし、先代の子供が継いだ場合には、同時に他の社員に「自分はどう
 頑張ってもこの会社で社長になれない」と見せつけることにもなります。

このため、後継者は自らの立場に甘えることなく、会社で頑張る社員を
 物心ともに幸せにすると決意し、その決意をしっかりと伝えていく必要
 があるのだそうです。

その気持が伝わっていれば、一時的な業績の低迷や新市場への参入と
 いった緊急事態でも社員が必ず支えてくれるのだと、坂本氏は語ります。


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
 ▼ 後継者に必要なのは「徳」を積むこと
 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
 坂本氏の経験では、優れた経営者に共通しているのは、「社員とその家
 族など、会社で働く人たちの幸せを常に優先する姿勢を貫いている」点
 だそうです。

京セラ株式会社や、伊那食品工業株式会社もこうした経営理念を持って
 いるのだそうです。

後継者には「徳」、分かりやすく言えば、自らのふるまいによって周囲
 の人を引きつける力を身につけていただきたい、と坂本氏は語ります。

営業成績や知識などの「才」も確かに重要ですが、それ以上に、部下の
 ことを考えられる人物か、部下から慕われているかどうかが重要なのだ
 そうです。

坂本氏は、こうした「徳」を身につけるために、優れた経営者に多く会
 い、どのように社員に接しているか、社会をどう考えているのかなどを
 直接知る経験を積み重ねたほうがいいのだと言います。

努力を惜しまず、社員やその家族の幸せを自分のそれより優先する、そ
 んな気持ちが大切なのだそうです。


 

出典:日経トップリーダー 2014年3月号
 



社員が大量退職寸前!不満の原因は『肩書』『名刺』

Date - 2014.03.31

今回は、日経トップリーダーより、株式会社堀場製作所の最高顧問である、
堀場雅夫氏の
「知的楽観経営論-社員が大量退職寸前!不満の原因は『肩書』『名刺』」
をご紹介いたします。
 
 
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
▼ 社員の不平不満は、予想すらしなことで起こる
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
入社シーズンである、春が近づいてまいりました。
 
中小企業は、待遇面で大企業に負けることが多いそうです。
社員に愛想を尽かされないよう、不平不満を丁寧に拾い、潰すことが
肝心だと、堀場氏は語ります。
 
堀場製作所では、会社設立から5年がたった頃、大量退職寸前の危機が
あったそうです。
 
当時(昭和20年代後半~30年代)にかけては、朝鮮動乱が終わり、日本
全体が活気づいていました。
堀場製作所でも、社員に大企業並みの給料を出していたそうです。
 
しかし、ある時期から職場の空気が怪しくなったそうです。
社員のしらじらしさを不審に思った堀場氏が、社員の1人をつかまえて
聞き出すと、原因は「肩書」にあったそうです。
 
堀場製作所には、当時、組織というものがなく、社員には誰一人、肩書
を与えていなかったそうです。
また、研究職ばかりで営業に出ることもなかったため、作る必要もない
だろう、と、名刺も作っていなかったそうです。
 
しかし、社員が大学の同窓会に参加した際、同期が軒並み、係長や主任
研究員に昇進していたそうです。
中には博士号を持っている人までいるということを知り、堀場製作所の
社員は皆ショックを受けていたのだそうです。
 
 
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
▼ 肩書を持っていなければ、コンプレックスにもなる
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
肩書で不満が起きるなんて、完全にノーマークだったと堀場氏は語りま
す。
 
むしろ肩書重視の大企業を馬鹿にし、社員にも「大切なのは能力。肩書
で仕事ができるかい」と日頃から話していたそうです。
 
社員には京都大学の出身者も多く、「入った日からビッグプロジェクト
を任したるわ」という堀場氏の話を聞き、目を輝かせて入社してきてい
ました。
ベンチャー企業の魅力を感じ、おもしろそうに仕事をしていたため、ま
さか肩書を欲しがるとは思わなかったそうです。
 
「もしかしたら、親や、恋心を寄せた女性から嫌味を言われたのかもし
れません。
肩書で仕事をするものではないと頭では分かっていても、大学の同期や
周囲の人からいろいろ言われたら、誰でもショックでしょうね。」と
堀場氏は語ります。
 
肩書を持っていなければ、コンプレックスにもなる。
それが多くの日本人の本音だそうです。
 
 
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
▼ 全員を課長に
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
原因が肩書にあると判明してから、堀場氏は、即座に全員を課長にした
そうです。
もちろん、名刺も作りました。
さすがに博士号は勝手に名刺に書くわけにはいかないので、複数の会社
からもらっていた開発の下請け仕事で論文を書かせ、論文博士を取らせ
たそうです。
こうして、職場が元通りに明るくなったそうです。
 
こうした経験から、堀場氏は、「中小企業の経営者というのは、第一線
で働いてくれている社員が何に満足し、何に不満を持っているかを常に
感じ取り、カバーしないといけない。」と語ります。
 
スペシャル何とか、というような分かったような分からないような肩書
を与えることも、「あなたのことを認めている」という経営者の気持ち
なのだそうです。
 
毎日楽しんで、おもしろおかしく仕事をしてほしいから、社員の不平不満
を最小限に抑える。
 
社長はもちろんのこと、部長や課長などの管理職も、皆が常にこうした
意識を持っていれば、その会社ではたらく社員はきっと長く勤めてくれる
はずです、と堀場氏は語りました。
 
 
 
出典:日経トップリーダー 2014年3月号