育児応援上司「イクボス」を増やせ

Date - 2014.10.17

今回は『日経ビジネス』より、育児中の部下を応援する「イクボス」に

ついての記事をお伝えいたします。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼「イクボス」を増やせ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

育児中の部下の勤務体系に配慮し、応援する上司「イクボス」を増やす

動きが広まっています。育児に理解がある上司が増えれば、安倍政権が

掲げる「女性の活躍推進」も民間から後押しできます。

 

「イクメン(育児に積極的な男性)という言葉ができて数年。これから

はイクボスの時代です」

UBSグループ約40人の管理職を前にこう語りかけるのは、父親の育児

参加などを支援するNPO法人、ファザーリング・ジャパンの安藤哲也

表理事。

 

世界で事業展開するスイスの金融機関UBSは、拠点ごとに多様な働き

方を支援しており、日本で狙いを定めたのは管理職。

安藤氏は、育児などを抱えてフルタイムで働けない「制約社員」がすべ

ての組織で推定7割はいると紹介し、管理職の意識改革の必要性を訴え

ました。

 

「部下の私生活に最大限配慮しつつ、自らのワークライフバランスも充

実させ、チームの成果を高めるのがイクボスの本来の姿」と同法人の川

島高之理事は強調します。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼全国に広がるイクボス養成

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

イクボスという言葉は、2012年群馬県が男性の育児参加や育児休業取

得を支援するため、県内企業の事業主や上司に意識改革を促すセミナー

の名称を「ぐんまのイクメン・イクボス養成塾」としたのが始まりとさ

れています。

育児休暇や短時間勤務の社員が増える中、管理職の理解が乏しければ優

秀な人材をつなぎ留めることも難しくなります。そのため、イクボスを

養成するための取り組みは全国に広がりを見せています。

 

英製薬大手グラクソ・スミスクラインは9月9日、イクボス養成の意義

などを紹介する社内セミナーを開催し、管理職と一般社員合計で約100

人が参加しました。部下の育児支援に消極的な上司「ダメボス」と、イ

クボスを比較する動画を社内で制作もしています。

 

外資系企業だけでなく、日本企業にも「イクボスブーム」が起こりつつ

あります。

セブン&アイ・ホールディングスは、グループの管理職向けのイクボス

セミナーを3回開催の予定。コクヨや日立ソリューションズもイクボス

普及への取組みを進めています。

 

イクボスという言葉が生まれた背景には、日本の組織で育児に対する管

理職の意識が低いという実態があります。まだまだ部下の育児支援に消

極的な風土が残る業種や企業も少なくありません。

 

この取組みがさらに広がるには、イクボス養成を目指す企業間での情報

交換を活発化させるなど、横のつながりを強くすることも求められてい

ます。

 

 

出典:日経ビジネス 2014年9月15日号

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

イクメンという言葉がもてはやされるようになった今も、まだまだ育児

支援への理解が薄い企業は多いのが現状です。

育児支援への理解が結果的には企業の成長につながるということがわ

かれば、イクボス化も進みそうですね。



全員社長経営 分身なくして、会社は成長せず

Date - 2014.10.10

今回は『日経トップリーダー』より、今後30年で目指すべき「全員社

長経営」の特集から、稲盛和夫氏が編み出した、自身の“分身”のつく

り方についてお伝えいたします。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼全員社長経営への道筋

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今や、名経営者の筆頭に挙げられることが多い稲盛和夫氏。京セラを一

代で一兆円企業に育て上げ、KDDIの母体である第二電電を創業し、日

本航空を再建したことで有名です。その稲盛和夫氏がなぜ名経営者にな

り得たのか、そのヒントは創業当時の苦悩にあります。

 

2007年、稲盛氏はこう語っています。

「本当に自分で経営を一生懸命やっていこうと思えば、経営者というの

は、これほどしんどいものはない。全責任がかかる (中略)。分担してや

ってくれる人が欲しいと思いました。」

そうして試行錯誤の末に生まれたのがアメーバ経営でした。

 

アメーバ経営とは、組織を細分化し、小グループ(アメーバ)ごとに採

算を管理する手法です。自分が属するアメーバの採算を日々管理すると

いう作業を通じ、各社員に経営マインドを持たせることに成功しました。

経営者と同じくらい強い責任感と高い目線を持ち、経営者の分身のよう

に動きまわる社員。「全員参加型経営」を超える「全員社長経営」の道筋

をつけたことが、名経営者と呼ばれる理由のひとつです。

 

稲盛氏の評価をさらに押し上げているのは、分身の重要性が年々高まっ

ているという時代の潮流によるところも大きいでしょう。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼剛腕一辺倒では難しい

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

30年前のバブルまっただ中。売れそうなサービスや商品を見つけ、い

ち早くそこに投資すれば成長できた時代。会社の針路が明確なため、リ

ーダーが「こっちに行くぞ!」と引っ張れば経営はうまくいきました。

ところが今は経営の針路がひとつではありません。求められるのは軍隊

的組織ではなく、各社員が主体的に動く組織です。

 

また、経営者の仕事の範囲も格段に広がりました。資産をいかに活かし

利益を最大化するかの財務センスなくして経営者は務まりません。また、

良い物を作れば売れるという時代でもなくなり、マーケティングの知識

が必要です。さらにグローバル化への対応、法律知識、コンプライアン

スの徹底など、様々な能力が経営者の双肩にのしかかる現在、これらを

1人で担うのは無理があります。

 

労働の質的な変化も起きています。30年前はワーカーが全盛でしたが、

仕事の多くが機械やコンピュータに置き換わりつつある今、創造性や芸

術性で勝負する社員を生かすには、彼らの自律性を担保する新たな組織

づくりが求められます。

 

こうした3つの変化に気づくことができなかった経営者は、どんなに実

績を上げていても退場を迫られました。その多くが、ダイエーの中内功

氏や西武王国を築いた堤義明氏のような剛腕型のリーダーでした。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼リーダーシップを共有

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

一方、社員を徹底的に活かした経営者は実績を出し続けました。ホンダ

の創業者、本田宗一郎氏はその1人でしょう。1984年に本田氏はこの

ように語っています。

 

「どんなに素材が良くても本人の嫌がることをやらせたら絶対にもの

になりませんね。優秀だということは自分の好きなことをやって成功し

ていくことを言うんだな(中略)。経営者の大切な仕事は、各社員が生

き生きと働けるような、好きな仕事につけてやることでしょう。」

 

剛腕型のリーダーを全否定はしません。創業期や業績不振からの脱却を

試みるとき、イノベーションが必要なときなどには強いリーダーシップ

が要るのです。しかし平常時においては、経営者のリーダーシップが強

引であるほど、一般的に社員の自立性は阻害されてしまいます。リーダ

ーシップの強弱のバランスが経営者にとっては最も困難な問題です。

 

ワタミの創業者渡邉美樹氏、「すき屋」を展開するゼンショーホールデ

ィングスの社長小川健太郎氏らもそこでつまずきました。強力なカリス

マ性を発揮し、飛ぶ鳥を落とす勢いで事業を拡大してきた実績は評価に

値するものの、組織を束ねる自らの力に頼りすぎました。世の中で起き

ているリーダーシップへの大転換が、会社を揺るがせることを両氏はは

からずも示してしまったと言えるでしょう。

 

これからは、トップ1人の力で組織を率いるのではなく、個々の社員の

力を最大化し、リーダーシップを分散・共有する時代なのです。

 

 

出典:日経トップリーダー 2014年10月号

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

経営者にとっていかにリーダーシップを発揮するか、ということと、い

かに自身の分身を作るかということは、とても難しい問題です。今自社

にとって必要なリーダーシップはどのような形なのか、自身の分身は社

内にいるのか、等考えながらお読みいただければ幸いです。

 

次週も「全員社長経営」の特集からお送りいたします。



トップが心掛ける「アフター」5ヵ条

Date - 2014.09.26

今回は、『日経トップリーダー』より、攻めのアフターサービスについ

ての特集「アフターサービスで一人勝ち」から、攻めのアフターサービ

スを実行する上で、トップが果たすべき5つの役割についてお伝えいた

します。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼より顧客視点に立って考える

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「守り」から「攻め」のアフターサービスに転じるために、トップが果

たすべき5つの役割があります。

 

まずは「より顧客視点に立って考える」ということ。

アフターサービスの対称となるのは、商品やサービスの購入を通じ、一

度は自社と接点を持った顧客。顔の見えない一般の消費者とは異なり、

会社は顧客に関する何らかの情報を持っています。

それを元にニーズは何かを見極め、提供することで顧客満足度を高める

ことにつながります。つまり、「より顧客視点に立つ」必要があるので

す。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼実行のための仕組みづくりを

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

アフターサービスは、特定の社員が思いつきで行うようなやり方では意

味がありません。すべての顧客に良質なサービスを提供し続けるために

は仕組みづくりが欠かせません。

 

実際は、社員の思いやりや創意工夫から始まるケースもありますが、そ

のような場合でも、会社を挙げたアフターサービスの取り組みにするた

めに、社内体制の構築や、実施のためのルールを作らねばなりません。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼上手に対応できる社員を育てる

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

仕組みを作っただけでは実行はおぼつかないため、担当する社員の育成

にも取り組むべきです。

 

攻めのアフターサービスを行う最大の目的は、顧客との頻繁な接触によ

る満足度の向上です。まずはそれを社員に理解してもらわねばなりませ

ん。その上で、仕組みに沿いつつ、顧客一人ひとりに気配りができる社

員を育てる必要があります。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼継続を重視し身の丈に合ったやり方で

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

アフターサービスは継続してこそ意味があります。アフターサービスを

充実させようとすれば、人件費を中心としたコストが発生することは避

けられません。無償で行う場合は特に注意が必要で、大幅な持ち出しに

ならないよう、気をつけたいところです。

 

人手や資金力が限られている中小企業は、身の丈に合った展開を念頭に

置き、継続を重視することが大切です。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼経営者自ら先頭に立ち推進する

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そして何よりも大切なのは「経営者自ら先頭に立ち推進する」というこ

と。あらゆる機会を捉え、アフターサービスの重要性と着実な実行を社

員に訴えなければなりません。

 

成果が上る前に時間がかかることもあるので、モチベーション維持のた

めにも、トップの明確なメッセージは不可欠です。

 

 

これら5つの役割をトップが意識しているかどうかが成否を分ける、と

言っても過言ではないでしょう。

 

 

出典:日経トップリーダー 2014年9月号

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

4週にわたって「攻めのアフターサービス」についてお伝えしてまいり

ましたが、今回はトップの姿勢に焦点をあててご紹介いたしました。ア

フターサービスだけに限らず、トップの姿勢は事業への影響が最も大き

いもの。参考になれば幸いです。



アフターサービスでひとり勝ち 不安にしっかり応えるサービス

Date - 2014.09.19

今回は、『日経トップリーダー』より、攻めのアフターサービスについ

ての特集「アフターサービスで一人勝ち」から、手に入れてからも悩み

を抱えるお客様の不安にしっかり応えている成功例をお伝えいたしま

す。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼顧客の不安をいかに解消できるか

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

アフターサービスを「守り」から「攻め」に変えるためには、社内の意

識改革と、全社を挙げて顧客に寄り添う仕組みが不可欠です。

 

まず大切なのは「顧客の不安をどれだけ解消できるか」という視点。

製品や基本サービスを手に入れた後でも、使い方が分からず悩んだり、

故障したらどうしたらいいのか、と不安を抱えている人もいます。アフ

ターサービスの強化によって、こうした悩みや不安を解消できれば、顧

客は自社への信頼を深めてくれます。「選ばれる会社」になるために、

顧客の信頼は必須です。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼購入したら廃車までワンストップで対応

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

三重県伊賀市の自動車販売店、オートセンターモリは、アフターサービ

スに力を注ぎ、メンテナンス、車検から廃車までを一貫してサポートす

る「オールカーライフサポート」を掲げています。

 

本社店舗は車両の販売だけでなく、自動車保険の相談、レッカー移動の

受付、レンタカーの窓口、車検や修理を手掛ける工場が立ち並び、廃車

リサイクル専用の工場も運営しています。顧客から廃車にする車を買い

取り、工場で解体、取り外したパーツをグループ会社が運営する中古パ

ーツ店で販売し、車を一旦購入すれば“揺りかごから墓場まで”の面倒を

見るサイクルを構築しています。

 

アフターサービスの取り組みが最も強みを発揮するのは、事故や故障な

ど顧客が「困っている」ときです。どこに何を頼めばいいかわからない

ドライバーが、オートセンターモリに電話を1本入れるだけで、様々な

部門が連動しながらサービスをスタートさせるのです。

 

現場に向かうレッカー部門は365日24時間対応、顧客の精神的な負担

を和らげるために、到着するとおしぼりと飲み物を手渡し声をかけます。

修理が必要な場合は、車と一緒に店舗に向かい、到着時には既に自動車

保険の手続きが進んでいます。必要であれば代車やレンタカーを手配、

中古パーツを使って修理代を安く済ませることもできるのです。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼仕組みを支える社員教育

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

アフターサービスで成功を上げるには、仕組みづくりだけではなく、現

場で顧客にしっかりした対応のできる社員の教育が不可欠です。オート

センターモリでは、大手航空会社出身の講師らを招き、接遇などの研修

を定期的に実施してきました。研修には、営業担当者だけでなく、工場

やレッカーの担当者も参加しています。

 

また、複数のアフターサービスを同時に円滑に実施するには、部門間の

緊密な連携も欠かせません。そのために、部門を超えた異動を積極的に

実施し、それぞれのサービスの橋渡し役となる人材の育成を進めていま

す。

 

とはいえ、ここまでの道のりは平坦ではありませんでした。リサイクル

まで含めたサポートを手掛ける会社がないため、手探りで進むしかなか

ったからです。森淳次社長は、会議を社員に任せることなどによって、

自分で考えて動く社員を一歩ずつ育て、現在の仕組みをつくり上げるの

に約10年を費やしました。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼夫不在時の主婦をサポート

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

アフターサービスに力を入れる理由は、店舗のある伊賀市、名張市の地

域性による面も大きくあります。

この地域は大阪に通勤するファミリーが多数住むベッドタウン。主婦は

買い物などで車を日常的に使う人が多く、平日の夫が不在時に車が故障

したらどうしよう、という不安を抱えています。周辺の商圏人口も18

万人と限られていることもあり、顧客の不安に向き合いながら、アフタ

ーサービスを磨いてきました。

 

一連の取り組みによってこのエリアの自動車保有台数に占めるシェア

は、約25%に達しています。

 

 

出典:日経トップリーダー 2014年9月号

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

徹底した社員教育により、顧客の不安を解消する仕組みの運用に成功し

た事例をご紹介いたしました。

「守り」から「攻め」のアフターサビスへ。安定した売上を確保するた

めに顧客の信用を得る手法をぜひ参考にしていただきたいと思います。



アフターサービスでひとり勝ち 固定客づくりが成長の原動力

Date - 2014.09.12

今回は、『日経トップリーダー』より、攻めのアフターサービスについ

ての特集「アフターサービスで一人勝ち」から、自転車販売のあさひの

成功事例をお伝えいたします。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼生き残りをかけたアフターサービス

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

自転車販売の専門店を全国展開しているあさひ。同社はこの5年間、店

舗数と売上高を右肩上がりに伸ばし、純利益も高水準を維持しています。

これは自転車小売業の事業所数が大幅に減少しているのとは対照的で

す。

 

この好調ぶりについて、下田桂史社長は「充実したアフターサービスに

よるところが大きい」と見ています。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼街の自転車店に回帰

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

街の自転車店全盛の頃は、買った店に持って行って修理してもらうのが

一般的でした。しかしホームセンターの一角などで自転車を売るセルフ

販売が普及するにつれ、売りっぱなしの販売店が増えました。こうした

売り方に下田社長は疑問を呈しています。自転車はネジ1本の締め忘れ

が事故につながることもあるのに、自動車の車検のような定期点検の仕

組みがありません。だからこそ原点に立ち返り、安全な自転車生活を支

えるよう努めていく、というアフターサービスへの思いがあるのです。

 

そのひとつが「クイックサービス」。修理に持ち込まれた自転車を原則

その日のうちに直して顧客に返すサービスです。街の自転車店では普通

に行われていましたが、セルフ販売の店では修理スタッフが常駐してい

ない場合も多く、一旦預かって修理するのが一般的なのです。対してあ

さひは、修理スタッフが常駐し、その場で修理しています。全店舗でこ

のサービスを行うため、研修やマニュアルの整備によって修理スタッフ

の技術を一定に保つよう努めています。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼来店した機会を逃さず

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

スタッフが常駐する強みは、10数年前から実施している「サンキュー

点検」でも発揮されています。タイヤの空気を入れにきた人などに対し

て、簡単な点検を390円(税別)で行い、事故につながりかねない故障

に至る前に修理する、というサービスです。自転車店は顧客がしょっち

ゅう立ち寄る場所ではないので、来店した機会は逃さないようにしてい

るのです。

 

加えて、「サイクルメイト」という独自の会員制度を設けています。3000

円の会費で、3年間無償で点検が受けられるほか、盗難・傷害の保険へ

の加入など、様々なサービスが受けられます。これによって顧客と接点

を持ち、コミュニケーションを取ることで顧客を囲い込んでいます。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼単価アップで重要性増す

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

あさひでは、顧客が自転車を買い替えるタイミングをチャンスと捉え、

アフターサービスによる関係強化を重視しています。古い自転車を500

円で買い取るサービスも実施し、買い替えの取り込みに最後のひと押し

も。最近は売れる自転車の平均単価が上昇しているため、これまでより

も長期間乗るようになることが予想されています。販売後の顧客対応の

重要性はますます高まっているのです。

 

「自転車はますます、アフターサービスの充実している店で買うように

なる。」と語る下田社長は、今後もアフターサービスの充実に意欲的で

す。

 

 

出典:日経トップリーダー 2014年9月号

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

アフターサービスに重点を置いた取り組み事例をご紹介させていただ

きました。ただ不具合に対応するだけでなく、事故を未然に防ぐための

点検を促すなど、まさに攻めのアフターサービスです。

ご自身の事業において積極的にアフターサービスを仕掛ける施策とは

どのようなことか、考えてみられてはいかがでしょうか。