人材は世界で育てる 次の100年への挑戦

Date - 2014.11.21

回は『日経ビジネス』より、世界で人材を育てる施策で力強い成長戦

略を掲げている、大型船で世界シェア6位を誇るツネイシについてご紹

介いたします。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼100年企業の次世代を担うのは外国人

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

広島県福山市の旧・沼隈町にツネイシホールディングスの中核事業会社、

常石造船の常石工場があります。ツネイシの創業の地でもあり、グルー

プの本拠地です。

 

現在はフィリピンを中心に数百人の外国人がここで働いています。全て

ツネイシの海外拠点から来た人材です。日本で働く一番の目的は技術の

吸収。期間が終われば、指導者として世界の各地で活躍してもらうのだ

そうです。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼「マザー」となるセブ工場

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・かつての造船王国、日本。中国・韓国勢に逆転を許してはいますが、そ

の中でツネイシは大型船で世界シェア6位と健闘し、今後も海外を拠点

とした成長戦略を描いています。

 

1994年設立のフィリピン・セブ工場、2003年設立の中国・秀山工場は、

国内工場を凌ぐまでに成長し、今年の建造隻数55隻中、秀山は19隻、

セブは20隻と最多になりました。このセブにグループの将来がかかっ

ているのです。

 

グループの「マザー工場」として造船に対応するセブ工場。その役割は

「生産」だけにとどまらず、「人材補給源」としてグループ全体を支え

ています。セブで工場を運営する現地法人、ツネイシ・ヘビー・インダ

ストリーズ・セブ(THI)が送り込んだ人材は、常石工場で働く外国人

の約8割にも登っています。

 

THIが放つ人材は、南米パラグアイの造船所でも活躍しています。また、

現在計画中のフィリピン第2の新工場立ち上げの際には、確実にフィリ

ピン人工員が支えることになります。

生産に加え、人材を生み、輩出するという2つの役割を担うマザー工場。

なぜかくも人材が育つのでしょうか。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼質は日本よりも上

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

147万㎡の広大な工場。

銅板にバーナーを当て、同時に水で冷やしながら徐々に曲げていく「堯

鉄」は高い技能を必要とします。しかしセブでは、若い女性がチームを

組んで曲げています。上藤工場長は「フィリピンの女の子は器用だから、

3ヶ月もあればできるようになる。日本人だったったら1年はかかる」

と言います。

 

「はっきり言ってクオリティは日本より上ですよ」

そう言い切る上藤工場長。有能な工員はどう生まれるのでしょうか。

入り口となるのが手厚い研修です。工場内に併設された研修施設では、

協力会社の新人を対象に、造船の基本を学ぶ座学、日本語教育、日本の

海事協会の溶接ライセンス取得まで、約3ヶ月の研修を実施。今も年間

300人以上の新人が卒業しています。

 

決して賃金が高いわけではないのですが、離職率は1桁台と定着率が高

く、モチベーションも高く維持されています。その要因のひとつが「登

用」です。協力会社が推薦した腕の良い社員は、技能実習生として常石

工場へ赴任する道が開けています。さらに能力があればTHIの正社員

として登用される可能性もあります。実際に毎年40人ほどがTHIに転

籍し、管理職となっているのです。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼ツネイシはファミリー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ツネイシの進出により、バランバンの町は一変しました。税収が約1700

万ペソから約2億8000万ペソに増え、土がむき出しだった道路は舗装

されました。THIの寄付で学校ができ、病院が整備されました。バラン

バン町長は「ツネイシのことは、パートナーではなくファミリーだと思

っている」と語ります。

 

20年かけて築いた「ツネイシ」ブランドは、若き優秀な人材を吸い寄せ

もしています。今年、THIには85人の新人が入社しました。その多く

は地元出身で大学卒です。

 

ツネイシは今、こうした現地子会社の優秀な正社員のロイヤルティーを

さらに高める新施策の準備を進めています。優秀な人材を本社勤務とし、

本人の同意があれば本社社員にしたり、現地の優秀な新卒の学生を最初

から本社採用とするなどのこの新施策は来年にも開始。社員の高齢化に

伴い、日本から何十人も海外へ送り込めない状況の打開策と見込まれて

います。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼常石工場は「グランドマザー」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

一見単なる現地化策に見えますが、違います。創業の地、常石工場の求

心力を維持し、高めることが狙いです。マンパワーはセブ、知能と品質

保証は常石。日本は困ったときに帰る実家、いわば「グランドマザー」

の役割です。

 

今年で造船所の創業から97年。

「人材第一主義」。ツネイシが掲げる企業理念は何ら変わっていません。

その対象が、日本人のみ、ではなくなっただけなのです。

 

 

出典:『日経ビジネス』2014年10月20日号

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

これまでの「生産」だけではなく、いよいよ「人材補給」も海外拠点の

役割となる時代が、もうそこまでやってきているのですね。



「声なきクレーム」に商機 不満買い取ります

Date - 2014.11.14

今回は『日経ビジネス』より、消費者の「声なきクレーム」までくみと

り商機につなげた事例をご紹介いたします。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼顧客の不満情報を入手

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

さいたま市にある創業36年の中堅部品メーカー、ベルニクス。発電所

や電車などの安全に欠かせない電源部品を供給しています。そんな地味

な会社が1年半前、電動アシスト自転車を新たに開発し、自転車事情へ

と参入しました。価格は約15万、台数限定で製造・販売したところ、口コミ効果で完売し、今も問い合わせが相次いでいます。

 

従来の電動アシスト自転車は、ママチャリにアシストモーターを取り付

けただけが一般的で、母親が幼児を後ろに乗せて転倒した場合の心配が

ささやかれていました。そこで、16インチの小さい前輪で乗りやすい

構造にし、万一転んでも頭部に加わる衝撃を和らげるよう、子どもの座

る位置を低くしました。

 

さらに、全ての消費者が持つ不満にも配慮しました。例えば、クッショ

ン性に優れた素材の採用で走行中のパンクを防いだり、回転数を検知す

る仕組みの導入で、電動アシスト自転車の欠点である発進時の急加速も

軽減させることに成功したのです。

 

なぜ普通の部品メーカーがこれほどユーザーのニーズをくみ取った製

品開発をすることができたのか。それは、消費者の不満がびっしりとう

めつくされたファイルを入手したことがその理由でした。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼「1件10円」が宝の山に

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ファイルを提供したのは、創業間もない小さなベンチャー企業、不満買

取センターです。不満1件を消費者から10円で買い取って、複数の企

業に1件5円で販売しており、飲食店や美容業界などを中心に顧客が広

がっています。

 

「パンクが面倒」「急発進して怖い」「自転車は後ろに進めない」

一つひとつの不満は一見当たり前の内容ですが、自転車事業のノウハウ

がない新規参入者のベルニクスにとってはまさに宝の山でした。

 

ベルニクスの新製品発売に際し、自転車販売店の抵抗感が一番強かった

のはパンクしないタイヤ。パンク修理などが大きな収入源になっている

ためであり、大手がパンクしないタイヤの採用に踏み切れない要因の一

つでした。消費者の素朴な不満に目を凝らせば、既存の不合理なビジネ

スモデルを破壊し、再創造するヒントが含まれているのです。

 

ベルニクスは、今後も消費者の持つ不満を解消する製品の開発を続け、

新たな市場を創造することも目指しています。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼サイレントマジョリティーに注目

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

従来の顧客構造では、サイレントマジョリティーが抱く「声なきクレー

ム」をくみ取れませんでした。わざわざ不満を言う程ではない、少し使

い勝手が悪い、そのような思いをした消費者はわざわざメーカーに連絡

はせず、ただ立ち去って二度と購入しないだけです。

 

サイレントマジョリティーが抱く思いこそ、顧客の本当のニーズであり、

イノベーションのヒントとなります。そして今、その入手手段が大きく

変わろうとしています。ツイッターやフェイスブックといったSNSが

普及し、企業がその活用方法をさらに進化させているのです。

 

多くの企業にとって、SNSは自社に関係する問題が発生していないか

監視したり、情報発信したりするためのものでしたが、日本マイクロソ

フト(MS)は消費者一人ひとりの疑問や不安に答える双方向的なコミ

ュニケーションを始めています。

 

MSは2013年3月のサーフェイス発売とほぼ同時に、ツイッターを活

用したサポート体制を整備しました。「ツイッターを使ったことで、今

まで見えなかった顧客の反応が見えるようになった」と、マーケティン

グを担当する千歳敬雄氏は力説します。消費者も、企業からの接触によ

り「自分の何気ない声を気遣ってくれている」という親近感を抱いてい

るのだそうです。

 

アマゾンジャパンは、顧客同士のコミュニティーを醸成することで、サ

イレントマジョリティーの声を引き出そうとしています。10月から、

ネットを活用して顧客同士がサポートし合う「カスタマーQ&A」を始め

ました。商品の機能面の質問を投げかけると、別の顧客が答えてくれる

仕組みです。

 

「声なきクレーム」を収集し、商品やサービスの進化に活用する。それ

がこれからの競争に勝ち残る鍵となるのです。

 

 

出典:『日経ビジネス』2014年11月3日号

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

一見聞こえてこない「声なきクレーム」がイノベーションのヒントとな

ることは間違いありません。SNSの普及により、中小企業でもその声を

聞くことが可能になった今、どのような取り組みができるのか考えてみ

る余地はありそうですね。



「後ろ倒しシューカツ」の実相① 既に採用は始まっている

Date - 2014.11.07

今回は『日経ビジネス』より、従来より3ヶ月遅くなった2016年3月卒

向け卒業戦線において、既に先行している企業の取り組みをご紹介いた

します。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼就活後ろ倒しでインターンシップ花盛り

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2014年夏、ローソンではインターンシップを4年ぶりに復活させました。

その背景には、2016年3月に卒業する予定の大学生や大学院生の採用活

動の解禁時期が従来より3ヶ月ほど遅れることにあります。

具体的には、企業が説明会などの広報活動を始められるのは2015年3月

から。そして選考の開始は2015年8月からになりました。

 

就活事情に詳しい千葉商科大学の常見陽平非常勤講師は「中小企業の内

定は年明けになるかもしれない。大手も例年の10月1日の内定式には間

に合わない可能性がある」と指摘します。「政府からの要請の趣旨を理解

して守っていただきたい」(経団連)とはいえ、人手不足もあって企業の

採用意欲は高まっています。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼実際は始まった就職戦線 学生には温度差も

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

経団連の協定などのルールの隙間を縫い、企業は学生との接点作りに走

りだしています。ローソンのインターンシップはその典型例です。2016

年3月卒業予定の大学生向けにインターンシップを募集する企業は、マ

イナビの掲載企業で前年比27%増の1368社となりました。

 

一部の大学も学生の就職支援をスタートさせています。例えば関西学院

大学では、就職活動に向けての心構えやエントリーシートの書き方など

を教える学生向けセミナーを、例年通り2014年5月から実施していま

す。「就活はまだまだ先」とう学生の誤解を解くことが目的です。

 

企業側では時期をさらに早め、大学1~2年生を対象に就活を意識しても

らうイベントを企画する企業もあります。三井物産もその一社です。今年

8月には、大学1~2年生を対象に商社の仕事を体験できる「キャリア大

学」を開きました。早くから商社の仕事の中身を理解してもらい、仕事の

おもしろさを伝えることが目的でした。また、早い時期に自分の目指す道

を見つけて目標を作ってほしい、という意図もありました。同社では今後

も「キャリア大学」を開催していく予定です。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼既に内々定ある学生も 引き留め策に苦心

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

経団連の協定の制約を受けないので、既に大学1~3年生を対象に内々定

を出している企業もあります。

 

ネスレ日本は10月上旬にインターンシップ参加者10名ほどに内々定を

出しました。大学1年生から選考に応募でき、適性検査や面接などに合

格するとインターンシップへ参加する権利が得られます。その中で内々

定を勝ち取れるのは1~5%と狭き門です。

 

ファーストリテイリングも大学一年生から受験できます。面接、インター

ンシップなどへの参加後に内々定を出します。採用チームの山崎麻紀リ

ーダーは「就活が始まる時期に留学や研究に時間を費やしたいという学

生にも参加してもらえるようにしている」と言います。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼リクルーターが復活 コネは自分で作る

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

リクルーターとは、自分の出身大学を訪れ、ゼミやサークルなどの後輩に

勤務先の会社や仕事内容を説明する若手社員のこと。「空前の売り手市場」

と呼ばれたバブル期には、採用活動のピーク時になると大学のキャンパ

スに大企業のリクルーターが殺到しましたが、バブル崩壊後の就職氷河

期に相次いでリクルーターが廃止されました。

 

そのリクルーターを復活、増員させる動きが活発になっています。例えば

東洋ゴム工業は、2007年以来7年ぶりにリクルーターを復活します。

NECは今年のリクルーター数を昨年の1.5倍の1500人に増員しました。

 

また、ロート製薬では、社員から優秀だと思う学生を推薦してもらう制度

があります。インターンシップや大規模な説明会を開かない代わりに、紹

介を受けて人事部が少人数で学生に会います。「社風を理解している社員

から推薦される学生とは相性が良いはず」と、矢倉芳夫マネージャーは言

います。

サイバーエージェントも同様に社員による紹介で学生と会い、選考につ

なげています。

 

SNSの普及により、意欲さえあれば様々な形で接触できます。コネは自

分で作る、新たな「コネ入社」の形が今後広がっていきそうです。

就活の解禁が後ろ倒しになったにもかかわらず、企業は優秀な学生に接

触しようと様々な手段で動き出しています。早くスタートを切った学生

ほどより多くのチャンスに恵まれるでしょう。

 

 

出典『日経ビジネス』2014年10月13日号

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

新卒人口が減少していく中で、今後ますます新卒採用は難しい状況とな

っていきます。これまでうまく採用できていた企業も、今後の採用に関

しては新たな策を講じる必要に迫られています。アンテナを高く持ちた

いものですね。



コーチングで社長力アップ

Date - 2014.10.31

今回は『日経トップリーダー』より、今改めて注目を集めているコーチ

ングについてご紹介いたします。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼起業家や後継者が活用

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

自ら考えて行動するのを支援するコーチングが経営者の間で今改めて

注目を集めています。

 

デジタル機器のサポート業務などを手掛けるキューアンドエーは、1996

年の設立以来、売上高165億円、社員数340人の会社に成長しました。

自分1人のトップダウン経営に限界を感じるようになった金山社長は、

次代を担う幹部社員の教育を課題とし、月に1、2回のコーチングを受

けるようになりました。コーチとの対話を通じ、幹部社員を育てていく

方法を模索しています。

 

コーチングは、コーチが質問することにより、相談者自信に目標達成に

向けた新しい視点や行動の選択肢があると気づかせる手法。この点が、

専門家が解決策を示すコンサルティングなどと異なります。

 

1990年代後半から日本で広がりはじめたコーチングが今、中堅中小・

ベンチャー企業の経営者の間で改めて注目が集まっています。

その理由の1つは、事業承継の時期を迎える企業が増えていること。

「多くの後継者は自身の力量に不安を感じている。そうした後継者が経

営者としてのリーダーシップを習得する手段としてコーチングを活用

している」と大手コーチング会社のベテランコーチは話します。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼決断力アップに寄与

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ゴルフ場を運営する鹿沼グループの福島範治社長は、経営者としてのリ

ーダーシップを発揮する上で欠かせない決断力に磨きをかけ、民事再生

法の適用申請という重い決断を下しました。

 

十数年前。創業社長の父親が病に倒れ、急遽銀行を辞めて鹿沼グループ

に入りましたが、会社はバブル期に始めた事業に失敗し、債務超過に陥

っていました。福島社長が藁をもつかむ思いで始めたのがコーチングで

した。

 

会社の再建を目標にコーチと対話をする中で、「本当に会社を変えたい

と思っていますか」と問われ、「経営者としての腹が据わってなかった、

覚悟を持って決断を下すのが経営者の仕事だ」と気づいた福島社長。こ

れを機にリストラの断行に踏み切るなど、経営再建に邁進した結果、業

績は回復しました。

 

そんな矢先、メーンバンクが経営破綻。自社の金融債権がどこに売られ

るかわからない状況です。ここでも、コーチングでの気づきを原点に、

民事再生法を適用して自主再建を図ることに踏み切りました。結果、3

年で再生手続終了、そして再び会社を軌道に乗せました。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼孤独な社長の味方

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コーチングが注目される2つ目の理由は、外部に相談相手が欲しいか

ら。経営者は孤独になりがちですが、第三者のコーチになら自分の弱さ

もさらけ出せるからです。

 

データセンター事業を手掛けるさくらインターネットの田中邦裕社長

は「定期的にコーチと話しているだけで自分の考えがまとまってくる」

と語ります。田中社長は高校生だった1996年に創業、2005年には東証

マザーズに上場したものの、業務の多角化が裏目に出て07年に債務超

過に陥りました。コーチングを導入したのは、経営再建が一段落した10

年のことです。自分の器を大きくしないと再び会社が駄目になると思っ

たことがきっかけでした。

 

コーチとの対話を繰り返す中で、社員を巻き込んでやる気を引き出すこ

とが重要だと自覚します。そもそも7人の役員との意思疎通も不十分

だ、と気づいた田中社長。しかも自分の考えを一方的に話すばかりであ

ることにも気づきました。そこで、役員と月1回30分ずつ個別に話す

時間を設け、その際は聞き役に徹し、役員の意見を引き出すようにしま

した。それにより、役員に自主性が芽生え、建設的なアイデアが出るよ

うになったのです。

 

コーチングは経営者自身が目標達成に向けた方法を考えて実行し、検証

する力を身につける手法。あなたの社長力アップのためにコーチングを

活用してみてはいかがでしょうか。

 

 

出典:『日経トップリーダー』2014年10月号

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「答えは自分の中にある」とよく言われます。既にある答えを導き出す

ためにコーチングを活用するのはひとつの有効な手法なのかもしれま

せんね。



ユニーク採用で「金の卵」を呼びこむ

Date - 2014.10.24

今回は『日経ビジネス』より、独特の選考方法で学生を採用しようと工

夫を凝らしている企業の動きをご紹介いたします。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼リクナビに不満爆発 エントリー煽りの反省

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「エントリー煽り」。

大手就活情報サイトの「リクナビ」がこう名指しされ、インターネット

上で批判が殺到し、“炎上”しました。

きっかけは登録者のトップ画面に表示されたグラフ。

内定を獲得した先輩や、似た状況の同期と自分のエントリー数が比較さ

れており、不安につけ込んでエントリー数を増やそうとしていると批判

されました。

 

そのような意図はなかった、と運営側は説明しているものの、個人と企

業がお互いの相性を見定めるという本来の就活のあり方とは逆に、クリ

ック一発で大量エントリーできる仕組みになっているのは事実です。

就職氷河期から採用氷河期へと環境が急速に変わる中、学生と企業の双

方が就職支援サイトのお手軽さを敬遠する空気が漂っていました。

 

そうした中で、従来とは一線を画し、工夫を凝らした独自の採用方法で

優秀な学生を採用しようとする動きが徐々に広がっています。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼「変わり種採用」に動く企業が相次ぐ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

サイバーエージェントは2016年3月卒業予定の学生向けに「マルチエ

ントリー採用」という名称で採用の門戸を広げます。

新しい広告手法の開発を考える分野など、当初8コースを用意していま

すが、今後は30種類以上に増やす予定で、年間採用者の8割をこの手

法で採用する方針です。

 

今年8~9月には、スマートフォン向けゲームを開発するインターンシ

ップも初めて開催しました。優秀な学生には今後の選考試験で、面接の

回数を減らすなど優遇することもあるのだそうです。

 

一方で、就活支援サイトの利用を昨年からやめました。同社が望む学生

とサイトのマッチングの精度が低かったため、学生に会うことにより費

用をかけると方針を変更し、選考方法やインターシップの多様化につな

がっています。

                                              

ソフトバンクは、国内で実施したインターンシップに参加した400人の

うち、優秀な6人を選抜し、米国子会社のスプリントでインターンシッ

プを実施しました。もちろんすべてのプログラムは英語。

レスリングの優勝経験者など、特定のナンバーワンの資質・実績を上げ

た学生を雇う「No.1採用」での採用数も、2013年度の入社は24人と、

ここ3年で3倍に増えました。

 

カラオケ機器大手のエクシングは、2014年度の新卒採用で

「JOYSOUNDうたスキ動画採用」を初めて取り入れました。学生はカ

ラオケを歌う動画を撮影して同社に投稿、採用担当者がそれを元に選考

し、一次面接を省略する仕組みです

 

このほかにも、フグ料理専門店を展開する東京一番フーズがふぐに関す

る問題を解いて応募するコースなど、29の採用コースを用意。

おせんべいメーカーの三幸製菓は、せんべいへの熱い思いを評価基準に

する「おせんべい採用」などの試みを進めまています。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

▼「アウトロー」採用へワークショップ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

画一的採用から脱却しようとする企業に対し、その取組を支援するコン

サルティング会社も登場しています。

 

総合コンサルティング大手アクセンチュアでは、就活をドロップアウト

したまま大学を卒業し現在未就職の既卒者を対象とした、「就活アウト

ロー採用」ワークショップ(NPO法人キャリア解放区主催)を支援し

ています。

若者4~6人に企業の担当者が1人付き、各テーブルを回って若者と話

します。若者がその後、参加企業の採用試験臨むきっかけを作るのが狙

いです。

 

また、採用コンサルティング会社、ジースタイラスが主催した「逆求人

フェスティバル」も行われました。

2016年3月に卒業予定の学生がプレゼンテーション資料で自己アピー

ルし、その後企業の質問を受けてディスカッションに入ります。

この後、日本企業5社を上海やシンガポールに連れて行き、現地に留学

中の日本人学生と引き合わせる予定もしており、2015年には日本企業

の海外支店と現地の外国人学生とのマッチングも検討しているのだそ

う。

 

このような社外のサービスも活用しながら、様々な手で学生を採用しよ

うとする企業の動きは、今後さらに広がるでしょう。

 

 

出典:日経ビジネス 2014年10月20日号

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

新卒採用をしているが良い人材が来ない、という中小企業や、良い就職

先が見つからない、という学生。若者の人口がどんどん減っていく中で、

従来通りの手法では企業と学生のマッチングはままなりません。

求める人材像を明確にし、その人材と出会うにはどのような手法が最適

か、そのための支援を誰に求めるのか、検討してみる余地はあるのでは

ないでしょうか。